これまでドレスをお作りさせていただいた方は
どの方も思い出があるのですが
特に印象に残っているドレスがあります。
花嫁さんは陶芸家さん。

機会があって、ドレスのお話をいただいて初めてお会いするとき
彼女の工房におじゃまさせていただきました。

風通しのよい工房で
小さく丸まって、ひたすらこつこつと作陶する姿。

その脇に並べられた小さくて美しい器たち。

普段スカートを全くはかないと聞いて

とてもボーイッシュな方なのかと思っていたら

小柄で、少女がそのまま大人になったような

ほんとうに無邪気で可愛らしい方で

もう、私の方がこの方のドレスを作りたくなってしまったのです。

普段スカートを履かない彼女が、

ドレスなんて恥ずかしくて着れないという彼女が、

着るのが楽しみになるようなものを。

10年後、お写真を見たときにあぁ着てよかったって思えるようなものを。

作品にその人のすべてはあらわれていると思うから、

彼女が作る器のイメージをそのままドレスにしようと思いました。



光と風がとおるような、やわらかい白

女のひとの美しい手の中にあたたかく包まれるような

丸みと繊細さを持った彼女の作品。

彼女の作品はボーイッシュなんて言葉は全然似合わなくて、
詩的で、繊細で、品があって、
シンプルで、女性らしさもありつつ哲学も感じます。

そんな作品の雰囲気を表現できるドレス…
色々な素材サンプルを見て、さわって、見つけた1枚。

シルクとレーヨンの光を通す、柔らかくて、美しい光沢の素材。

この素材が彼女の作品の質感とリンクして

これしかない、と思い提案させていただきました。

デザインは本当にシンプルに、

彼女が気にしている体型の部分をカバーするような立体感だけをプラスして、

背中のくるみボタンは彼女の作品についている
小さくてかわいい蓋の持ち手のイメージで。




当日、ヘアメイクをしてドレスを着られた姿を見た時
ほんとうにきれいで、なんだか感動してしまって言葉になりませんでした。

お式は幼稚園に併設した教会で。
大切な人だけを呼んで。

カタチや豪華さなんて本当はどうでもよくて
心がこもった結婚式はお2人だけでなく
みんなを幸せにするし、
いつまでも参列された方の心に残るものになるのだと
改めて教えてもらいました。