オーダードレスレポート

こちらの花嫁様はご実家でお支度後、神社で神前式

その後料亭へ移動しご披露宴、という流れでした。

ドレスは料亭でのご披露宴で和装からのお色直しで

お召しになるためにオーダーいただきました。

新郎様は遠方にお住まいの方。

ご結婚式の後、新婦様は新郎様の住む街に移住される予定で、ドレスのお打ち合わせの時には新婦様のお母様が毎回一緒にお越しくださって、3人で細かいドレスのディテールや素材選びなどを相談しました。

お母様にとっては、もう少しで遠くに行ってしまう娘さん・・・

寂しい気持ちと嬉しい気持ち、両方があったと思います。

 

そんな中で親子で1着のドレスを作っていく過程は

嫁がれる過程での一つの思い出づくりにもなってくれたのではないかと思っています。

完成したドレスを着て嬉しそうに目を輝かせる花嫁様の表情とそれを見て「可愛い、可愛い」と何度も言いながら

花嫁様をあたたかい眼差しで見守るお母様の表情の両方がとても心に残っています。

 

オーダードレスはご結婚式当日だけでなく、

作っていく過程にも意味があるのだと改めて思いました。

ドレスはボリュームのないスレンダーラインにトップスを替えてお召しいただける2wayのデザインに。

天真爛漫な花嫁様のイメージに合わせて１パターンめのトップスはレースのお花が全面に散らばった

華やかで可愛らしさもあるものを。ノースリーブでスッキリと動きやすく。

格式のある料亭でのお式でしたのでスカートはマット寄りの高級感のあるシルク生地を使いました。

 

・・・動きやすいドレスにはもう一つ理由があり

学生時代ダンス部だった花嫁様はお友達と一緒にゲストの前でダンスを踊るご予定でした。

曲はお母様が大好きな森山直太朗さんのさくら。

もちろんお母様にはサプライズです。

（もしよければ、ぜひ”さくら”を聴きながら読んでください）

 

事前にこんな振り付けなんだけどドレスで踊っても大丈夫そうですか？と

動画を送ってくださったのですが、私は拝見して号泣してしまいました・・・

遠くに嫁ぐ気持ちや感謝の気持ち、ご両親や周りの人への愛がたくさんたくさん伝わってきて。。

 

そして一緒に踊ったお友達が彼女を大切に想う気持ちもすごく感じました。

きっとこの瞬間、会場全体があたたかい愛でいっぱいに包まれていただろうな、と思います。

お写真の中で、一緒に踊っているお友達もゲストの方も

もちろんお母様もみんな泣いていました。

人が人を想う気持ち、愛は生きていく上での糧となります。

コロナ禍でご結婚式をしない方も増えていて

選択は人それぞれだと思うのですが、お写真撮りだけでも、お食事会だけでも、それ以外の機会でもいいから

自分が周りに愛されてきたのだということを実感すること。

周りの人を大切に想っていることを伝えること。

この体験をするかしないかで、その後のお2人での生活が違ってくるのではないかと個人的には思っています。

 

そして花嫁様がその体験をするとき、その場に自分らしく立てるようにすること。

それがウェディングドレスの大切な役割なのではないかと改めて思いました。

 

後半はショートスリーブのトップス。

トップスとアクセサリーを変えるだけで全体の印象が変わります。

レースはより繊細な刺繍に。お袖やバックスタイルにパールボタンを並べて前半よりも繊細でクラシックな印象に。

着脱も簡単なので短時間でチェンジ可能です。

ちなみに、当日ゲストの方をお迎えしたこの暖簾、

新婦様とお母様2人で手作りされたものなんだそうです。

ご両家の家紋とそれぞれのご出身地の方言での「ありがとう」の言葉。

前日に実際に拝見して、とっても時間をかけて2人でワイワイ作られたんだろうなぁと心のこもったその仕事に感動したと共に、製作風景を想像して頬が緩みました。

入り口から愛に溢れていますよね。

きっとこの日、このご結婚式に出席された方々は

胸いっぱいになって帰路につかれたことと思います。

いつまでも、いつまでもお2人仲良く、ご家族の皆様もお元気であって欲しいなぁと心から思ったご結婚式でした。

素敵なご縁をありがとうございました。